電気と半導体|Week 1

電気の基礎

電圧・電流・抵抗の違いをつかみ、LEDに必要な抵抗を自分で選べるようになります。

まずは小さな数で試そう。電圧が上がると、同じ抵抗で流れる電流はどう変わるかな?
回路図タブレットを持ち、学習者を案内する半導体設計者の先生

この週でできるようになること

  • 電圧・電流・抵抗を、水流の比喩だけに頼らず説明できる。
  • オームの法則と電力の式を使える。
  • LEDへ直列に入れる抵抗を計算できる。
  • コンデンサが一時的に電荷を蓄えることを説明できる。

まず、具体的な場面から

1 V と 1 kΩ

電流は1 mA。

2 V と 1 kΩ

電流は2 mA。電圧が2倍なら電流も2倍。

2 V と 2 kΩ

電流は1 mA。抵抗が2倍なら電流は半分。

見えてくること:抵抗器では、電圧を大きくすると電流が増え、抵抗を大きくすると電流が減ります。

ここで初めて、見えてきた関係を言葉や記号でまとめます。

I = V ÷ R (同じことを V = IR とも書く)

Iは電流[A]、Vは抵抗にかかる電圧[V]、Rは抵抗[Ω]。1 kΩ = 1000 Ω、1 mA = 0.001 Aです。

なぜそうなる?

1 V / 1000 Ω = 0.001 A です。電圧を2倍にすれば割り算の分子が2倍、抵抗を2倍にすれば分母が2倍になるので、3つの例をまとめられます。

講義ノートで詳しく読む

元のMarkdownにある仕組み・図・用語を、順番に確認します。

1. 電荷、電流、電圧

電子は負の電荷を持ちます。金属中では一部の電子が動きやすく、電位差を与えると全体として一定方向へ移動します。

  • 電流 I:ある断面を1秒間に通過する電荷の量。単位A。
  • 電圧 V:単位電荷あたりのエネルギー差。単位V。
  • 抵抗 R:同じ電圧を加えたときの電流の流れにくさ。単位Ω。

慣用的な電流の向きは、正電荷が移動すると仮定した向きです。金属中の電子の移動方向とは逆ですが、回路計算では慣用電流を使います。

2. オームの法則

抵抗器では、扱う範囲内で次の関係が成り立ちます。

V = I R
I = V / R
R = V / I

例:5 Vを1 kΩへ加えたとき

I = 5 V / 1000 Ω = 0.005 A = 5 mA

単位の接頭辞も覚えます。

記号 意味 倍率
k キロ 1,000
M メガ 1,000,000
m ミリ 0.001
μ マイクロ 0.000001
n ナノ 0.000000001

3. 電力と発熱

電力は単位時間に使われるエネルギーです。

P = V I
P = I² R
P = V² / R

抵抗へ電流を流すと熱になります。CPUやGPUの冷却が必要になる根本にも、スイッチングや漏れ電流により電気エネルギーが熱へ変わることがあります。

5 V、5 mAなら、抵抗で消費する電力は次のとおりです。

P = 5 V × 0.005 A = 0.025 W = 25 mW

4. 直列と並列

直列回路では同じ電流が流れ、電圧が分配されます。

R_total = R1 + R2 + ...

並列回路では各枝に同じ電圧がかかり、電流が分かれます。

1/R_total = 1/R1 + 1/R2 + ...

同じ抵抗を2本並列にすると、合成抵抗は半分です。

5. LEDの抵抗を計算する

電源5 V、LEDの順方向電圧2 V、流したい電流10 mAとします。抵抗へかかる電圧は 5 - 2 = 3 V です。

R = 3 V / 0.010 A = 300 Ω

実際には標準値から330 Ωなどを選びます。抵抗の消費電力は次のとおりです。

P = 3 V × 0.010 A = 0.030 W

一般的な0.25 W抵抗の定格内ですが、実物ではLEDのデータシートと最大定格を確認します。

6. コンデンサ

コンデンサは二つの導体を絶縁体で隔て、電荷を蓄えます。

Q = C V

Cは静電容量です。直流電源につないだ瞬間は充電電流が流れ、十分に充電されると理想的には電流が止まります。デジタル回路では、MOSFETのゲートや配線にも微小な容量があります。この容量を充放電する時間とエネルギーが、速度と消費電力に影響します。

例題で確かめる

例題

5 V電源につなぐLEDの電圧が2 V、目標電流が10 mAのとき、直列抵抗はいくつ?

  1. 抵抗にかかる電圧は 5 − 2 = 3 V。
  2. 10 mA を 0.010 A に直す。
  3. R = V / I = 3 / 0.010 = 300 Ω。

答え:計算値は300 Ω。実物では標準値の330 Ωなどを選び、LEDの定格も確認します。

実習

  1. 3.3 V電源、順方向電圧2.0 V、目標電流5 mAのLED抵抗を計算する。
  2. その抵抗で消費される電力を計算する。
  3. FalstadでBattery、Resistor、LEDを直列につなぎ、抵抗値を半分・2倍に変える。
  4. 電流とLEDの明るさがどう変わるか記録する。

説明課題

「電圧がある」と「電流が流れる」はなぜ同じ意味ではないのか、開いたスイッチを例に2分で説明してください。

練習問題

元ノートの小テストです。まず自分で答えを考え、必要なら下の答えを開いてください。

  1. 12 Vを2 kΩへ加えたときの電流は何mAか。

    答えと考え方を見る

    I = 12 / 2000 = 0.006 A = 6 mA。

  2. 3 V、20 mAで動作する負荷の電力は何mWか。

    答えと考え方を見る

    P = 3 × 0.020 = 0.060 W = 60 mW。

  3. 100 Ωと220 Ωを直列にした合成抵抗はいくつか。

    答えと考え方を見る

    100 + 220 = 320 Ω。

  4. 同じ100 Ωを2本並列にした合成抵抗はいくつか。

    答えと考え方を見る

    50 Ω。

  5. コンデンサがCPUの速度・電力と関係する理由を一文で答えよ。

    答えと考え方を見る

    ゲートや配線の容量を充放電する時間とエネルギーが、回路の切替速度と動的消費電力へ影響するため。