# Week 3：ダイオードとMOSFET

## 今週のゴール

- pn接合に空乏層と内蔵電界が生じる理由を説明できる。
- 順方向と逆方向でダイオードの振る舞いが変わる理由を説明できる。
- MOSFETの端子とゲート電界の役割を説明できる。
- 「ゲートへ電流を流して開く」という不正確な表現を修正できる。

## 1. pn接合ができると何が起きるか

p型とn型を接触させると、濃度差によりn側の電子がp側へ、p側の正孔がn側へ拡散し、接合付近で再結合します。

その結果、接合付近には移動できないイオン化ドーパントが残ります。

```text
p型             空乏層               n型
正孔が多い   [ - - - | + + + ]   電子が多い
                      ← 内蔵電界
```

この領域は移動キャリアが少ないため空乏層と呼ばれます。固定電荷が作る電界は、さらなる拡散を妨げます。平衡時には、拡散しようとする効果と電界によるドリフトが釣り合います。

## 2. 順方向と逆方向

### 順方向バイアス

p側を高い電位、n側を低い電位にすると、外部電圧が内蔵障壁を弱めます。空乏層が狭くなり、多数キャリアが接合を越えやすくなります。

### 逆方向バイアス

p側を低い電位、n側を高い電位にすると障壁が強まり、空乏層が広がります。理想的にはほとんど電流が流れませんが、実物では小さな漏れ電流があり、強すぎる逆電圧では降伏が起きます。

ダイオードは完全な機械式スイッチではなく、電流と電圧が非線形に関係する素子です。

## 3. MOS構造

MOSはMetal–Oxide–Semiconductorの略です。現在のゲート材料は必ずしも金属・単純な酸化膜だけではありませんが、基本概念を表す名称として残っています。

nMOSを単純化すると次の構造です。

```text
             Gate
          ─────────
          絶縁膜（oxide）
Source n+              n+ Drain
      └──── p型基板 ────┘
```

端子はゲート、ソース、ドレイン、ボディです。論理回路の説明ではボディ接続を省略することがあります。

## 4. nMOSの動作

ゲートと半導体の間は絶縁されています。ゲートへ正電圧を加えると電界が生じ、表面から正孔を遠ざけ、電子を引き寄せます。しきい値を超えると、ソースとドレインを結ぶn型の反転層、つまりチャネルができます。

ドレイン・ソース間に電圧があれば、チャネルを通じて電流が流れます。

重要なのは、ゲートが定常的な直流電流で開くのではなく、**ゲート電圧による電界**でチャネルを制御する点です。ただしゲート容量を充放電する瞬間には電流が必要で、実物には漏れもあります。

## 5. pMOSとの違い

pMOSでは極性が反対になり、ゲートをソースより低くすると正孔のチャネルができます。nMOSとpMOSを相補的に使うのがCMOSです。

## 6. スイッチと増幅

- スイッチ：オフ領域と十分オンした領域を利用する。
- 増幅：入力の小さな変化がドレイン電流の変化になる領域を利用する。

CPU/GPUでは主にスイッチとして膨大な数を組み合わせますが、クロック、電源、入出力などにはアナログ動作も必要です。

## 実習

FalstadのサンプルからDiode I/V Curve、n-MOSFETを開きます。

1. ダイオードの極性を反転して電流を比較する。
2. nMOSのゲート電圧を0 Vから徐々に上げ、ドレイン電流を観察する。
3. 「しきい値を超えた瞬間に抵抗0になるわけではない」ことを記録する。

## 説明課題

pn接合の順方向バイアスとnMOSのオンは、どちらも電流を制御します。二つの仕組みの違いを3分で説明してください。

## 小テスト

1. pn接合付近で自由キャリアが少ない領域を何と呼ぶか。
2. 順方向バイアスでは空乏層は広がるか、狭くなるか。
3. nMOSのゲートと半導体の間には何があるか。
4. nMOSでは何がチャネル形成を制御するか。
5. MOSFETをスイッチ以外に使う代表例を一つ答えよ。

[解答](../answers.md#week-3)

