# Week 2：半導体材料

## 今週のゴール

- 導体・半導体・絶縁体をエネルギーバンドで比較できる。
- 電子と正孔がキャリアになることを説明できる。
- 真性半導体、n型、p型の違いを説明できる。
- ドーピングが「電子へ電荷を付ける操作」ではないと理解する。

## 1. シリコン結晶

シリコン原子は外側に4個の価電子を持ち、結晶中では隣の原子と共有結合を作ります。絶対零度に近い理想状態では電子は結合に束縛され、自由に移動しにくい状態です。

温度が上がると、一部の電子が結合を離れて移動できるようになります。電子が抜けた場所を正孔と呼びます。隣の電子がその空席を埋めると、空席が反対方向へ移動したように見えるため、正孔を正のキャリアとして扱えます。

## 2. エネルギーバンド

孤立した原子には離散的なエネルギー準位があります。多数の原子が結晶を作ると準位が密集し、帯のようになります。

```text
高いエネルギー
┌────────────────┐
│ 伝導帯：電子が移動しやすい │
└────────────────┘
       バンドギャップ
┌────────────────┐
│ 価電子帯：結合した電子     │
└────────────────┘
低いエネルギー
```

- 導体：利用可能な状態が連続しており、電子が動きやすい。
- 半導体：適度なバンドギャップがあり、熱や光などで一部の電子が伝導帯へ移れる。
- 絶縁体：バンドギャップが大きく、通常条件ではキャリアが生まれにくい。

「半導体だから常に導体と絶縁体のちょうど中間」というより、**キャリア数を大きく制御できる**ことが重要です。

## 3. 真性半導体

意図的な不純物をほとんど含まない半導体を真性半導体といいます。熱で電子・正孔対が生成されるので、電子数と正孔数は等しくなります。

電子が正孔へ戻ることを再結合と呼びます。生成と再結合の釣り合いでキャリア数が決まります。

## 4. n型とp型

少量の異なる元素を結晶へ加えるドーピングにより、キャリア数を調整します。

### n型

シリコンより価電子が1個多いリンなどを加えると、結合に使われにくい電子が供給されます。

- 多数キャリア：電子
- 少数キャリア：正孔
- 結晶全体：ほぼ電気的中性

### p型

シリコンより価電子が1個少ないホウ素などを加えると、結合に電子の空席ができます。

- 多数キャリア：正孔
- 少数キャリア：電子
- 結晶全体：ほぼ電気的中性

n型が負に帯電し、p型が正に帯電しているわけではありません。ドーパント原子のイオンと移動キャリアを合わせると、バルク全体はおおむね中性です。

## 5. ドリフトと拡散

- ドリフト：電界によってキャリアが動く現象。
- 拡散：濃度の高い場所から低い場所へキャリアが広がる現象。

電子は負電荷なので電界と反対方向へ動きます。正孔は正のキャリアとして電界方向へ動きます。pn接合では、拡散と電界によるドリフトの釣り合いが重要になります。

## 実習

紙を横に三分割し、導体・半導体・絶縁体の価電子帯、伝導帯、バンドギャップを描いてください。次にn型とp型について、多数キャリア、少数キャリア、ドーパントの例を書きます。

## 説明課題

「正孔は本当に正の粒子なのか」「n型は負に帯電しているのか」の二つを、誤解している友人へ説明してください。

## 小テスト

1. 価電子帯と伝導帯の間を何と呼ぶか。
2. シリコン中で電子が結合を離れたあとに残る空席を何と呼ぶか。
3. n型半導体の多数キャリアは何か。
4. p型半導体全体は通常、正に帯電しているか。
5. キャリアが濃度差によって移動する現象を何と呼ぶか。

[解答](../answers.md#week-2)

